日記29

9/27
晴天。
近所に大きな焼き鳥屋があって、店舗の隣のオフィスで毎朝仕込みをやっているらしい。バス停へ行く道すがら、そこを通ると、普通のオフィスなのに一瞬タレの焼き鳥のにおいがする。
タレの香りから一日が始まる。


仕事。忙しい。
終業後に、友達と「こなな」でパスタを食べた。


9/28
仕事。忙しい。


9/29
仕事。忙しい。


9/30
仕事。今日も忙しい、かもしれない。
今は午前6時。


あり得たかもしれない可能性が、心と頭の扉をピンポンダッシュして嘲笑い声を立てながら駆けていく。行き場のない小さな苛立ちだけがその場に残る。
幸せになるためにはどうすればいいかを考えることは、今と現実に自分を留めておく錨だ。過去を追い風にして未来へ身体を運ぶ帆だ。そうだろう。どうだろうか。それにしても眠いね。


たとえば僕は灯台守になりたかった。道路標識としての灯台を維持・管理する業務に勤めながら、海岸沿いで静かな生活をしたかった。水平線を眺めながら、一寸読んでいた文庫本は机に伏せて、丁寧に淹れた紅茶を口にしていたかった。
孤独と表裏一体の幸福を、幸福と表裏一体の孤独を噛み締めて、ずっと記憶の中にいる幻のきみのことだけを考えていたかった。


日本の有人灯台は2006年に全て無くなった。灯台守という仕事はもう日本には存在しない。


そして、仕事は予想よりはるかに忙しかった。今22時。荷造りして明日は遠出!

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