日記82

6/16
いよいよ仕事が手につかない。何回もトイレの個室で頭を抱えて、がしがしとかきむしった。何一つ全く進まなかった。
ほとんど職場放棄状態で定時1秒で退出。タクシーに飛び乗って家に帰り10分で支度してまたタクシーに乗る。そのまま新幹線に乗って東京へ向かった。本当は身支度もせずに駅へ向かいたかったが、後の負担を考えると一寸冷静になった。レッツゴー現実逃避。

平日の指定席は、一人で出張をしているサラリーマンが多い。だから3列席の真ん中が沢山空いている。

東京駅で、前から話してみたかった人と会った。ビア・バーへ行き、別のバーでジンライムを飲み、もう一軒行ってキールを飲んだ。午前1時半に解散した。まるっきり、楽しかったという気持ちしかない。日常から切り離された、罪のない夜の素晴らしさといったら。

土壇場でとっておいたホテルに宿泊。

6/17
ユニットバスに張った湯に浸かる。旅先のホテルじゃないと朝風呂もできないの、なんでなんだろう。親がそういうイレギュラーな行動に大げさに反応するからだ。高校の時に、貰ったキャンドルを灯そうとしたら、何重にも巻いたアルミホイルの大皿を持ってこられた事があった。
もう少し障害が快方に向かって、準備ができたら早く自活したい。

原宿デザインフェスタギャラリーで開かれている、さいあくななちゃんの個展を見に行った。感想は別途。
ギャラリーの中庭のカフェでポキ丼を食べて、グレープフルーツジュースを飲んでいたら、元彼女が来て、目の前の席に座り、ごめんなさい、好きになってくださいと言い始めた。そのまま目の前で黙りこくってしまったので、立ち去りづらいなと思っていたら、当日券で行こうとしていたライブの開演に間に合わなくなってしまった。どうにもならんので、一旦ホテルに帰り、コンビニで買った牛乳パックを飲み干して昼寝した。

ホテルを出て、トマト坦々麺を食べた。
東京の下町で暮らしているふりをしている。孤独ごっこをしている。
「ごっこ」と言えるのなら、実際は孤独ではないのだろうか?そういうことを思ったので、iPhone越しにそれを某人に話してみたら「孤独を自分の言葉で定義してみろ」という意味のことを言われてしまった。難しい。辞書的な意味を持ち出すのではなく、自分自身によって表現してみろということだ。

即答できなかった。事務員として働いているうちに、自分の中の創造性はここまで失われてしまったのか。寿命と創造性を引き換えに、口座に計上されている数値を得たのだ。そう思った。

思春期にいつまでもつきまとっていた孤独を思い出した。ベッドに横たわって涙を流しながら、自分のこめかみを撃ち抜く透明な銃を発砲し続けていた日々のことを思い出した。
いつまでも叶わない思いがあり、その思いは今でも叶わないままだが、年数の経過とともに透明な銃も錆びつき、引き金が弾けなくなった代わりに、鈍重な安寧が訪れた。鉛色の安心感が日々を包んだ。
それを引き合いに出すなら、自分自身の言葉で定義するのなら、孤独とは「愛せないこと」だ。愛を受け入れて貰えないからだとか、そもそも愛することができない対象だからだとか、理由なんてどうでもいい。断絶が孤独を形成するのだ。それに、この孤独の厄介なところは「愛せるかどうか」だけが問題であって、「愛されているかどうか」は全く要素に含まれていないことだった。

そういう意味では、今の自分は、孤独の棺桶に片足突っ込んだような状態なのかもしれない。

仕方ないじゃないか。
恋だったんだから。

ホテルの部屋でぼーっと発泡酒を飲んでいたら「いまからそっちまで行くから飲もうよ」というDMがきた。
チェーンの居酒屋でナスの一本漬けを齧りながら、お喋りして酒を飲んだ。
その人は「ちょっとさびしいけど」と言いながら、終電で帰っていった。

6/18
チェックアウトして、もう一度さいあくななちゃんの個展へ。絵を見て入り込もうとするほどに圧倒される。呆然としてちょっと泣きそうになった。どうしようもないので、中庭のカフェでハートランドを飲みながら、この個展のどこがどう好きなのかを考えて文字に置き換えようとした。

日高屋油そばと餃子3つ食べてから、髪を切って貰いに行った。油そばというものを食べたことがなかったので、日高屋ならまず基準点にしてもいいだろうなどと思って食べた。魚介と胡麻が効いていて良い。地元に日高屋が無いので東京に来ると行ってみたくなる。そして今日も担当の美容師さんは可愛くて的確で思った通りに仕上げてくれた。京都店を出してくれと頼んでおいた。

品川から、いま新幹線で帰っている。泥濘の中へ帰る。

もう会わない昔の知り合いがつくった「泥濘コンティニュウ」っていう曲が好きだ。もしよかったら聴いてくれないか。時代の廃墟、マイスペースにて。
https://myspace.com/highcollar/music/songs