違う世界

季節外れの雪が降り始めました。古いテレビの中の気象予報士は、雪が二度と降りやまないことをしきりに説明をしていましたが、キャスターも、アシスタントも、信じがたいように首を捻っているだけでした。二週間も経つと、そのテレビも映らなくなりました。画面には音の無い灰色の砂嵐が踊るばかりになりました。わたしは家の中でごわごわとした毛布を被り、貯蔵庫の中にあるものを少しずつ食べて暮らしました。時々、吹雪の夜には、大人たちの苛立った声が聞こえ、時々、粉雪の朝には、子どもたちの歓声が遠くで聞こえるような気がしました。あなたは既にこの街を去っていました。きっと、この街を去ることを選んだあなたが正しかったのでしょう。間違えてしまったわたしは、この街の多くの人と同じように、このまま少しずつ死んでいくのでしょう。貯蔵庫の食料は確実に減っています。馬車の馬すら殺して食べなければいけない時代が、すぐそこに迫ってきているのなら、あとにやり残したことなんて何があるというのでしょうか。あなたを愛していると伝えないでほんとうによかった。あなたがこの街を去ってほんとうによかった。