わたしはわたしを守る。わたしを守るために、わたしの殻を守る。わたしの殻を守るために、化粧をする。服を着る。服を選ぶ。清潔で目立たない服を入念に選ぶ。二度とあんな目に遭わないように。人目につかない地味な服を。曇り空のようなニットを。真っ暗な夜のようなスカートを。泥濘のようなシューズを。そして舌先に、ピンク色の飴玉をひとつ。生き延びるためにふつうを目指していたのに、あなたはそれを、愛されようとしていない証拠だと言いました。貝印の剃刀が結局いちばん痛くないし派手に血も出る。腕を切る理由は、死にたいからだとか、罰を受けたいからだとかじゃなくて、脳内でベータエンドルフィンとセロトニンが分泌されて、ただただ身体が気持ちよくなるから。調子はどうですか。元気に暮らしていますか。あなたはもうわたしのものにはならないから、せめて、わたしに消えない傷をつけてほしかったなと、窓の外に流れる5時のサイレンを聞きながら、ぼんやりと思っているところです。

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